経済学部の取組が大学教育推進プログラムに採択されました

経済学部の取組が大学教育推進プログラムに採択されました

文部科学省・日本学術振興会が2009年度に募集した、大学教育・学生支援推進 事業【テーマA】大学教育推進プログラム(大学における教育の質保証の取組の 高度化)に、このたび本学経済学部の取組計画が採択されました。この大学教育 推進プログラムは、大学・短期大学・高等専門学校から申請された、各大学等に おける学士力の確保や教育力向上のための取組の中から、達成目標を明確にした 効果が見込まれる取組を選定し、広く社会に情報提供するとともに、重点的な財 政支援を行うことにより、日本の高等教育の質保証の強化に資することを目的と しています。
 経済学部の取組計画の名称は「4年一貫の演習と論文指導が育む学士力」、そ の副題は「2段階サイクルの少人数演習、経済学の体系的教育、的確な能力判定 による、プラクティカル・エコノミストの育成」となっており、2009年10月から 2年半の取組が開始されることになります。
 取組の進行状況につきましては随時ホームページ等でお知らせしますが、さし あたり以下に、この取組計画の概要を掲げます。

取組の概要

本取組は、本学の経済学部(以下「本学部」と略記)が実施してきた2段階サ イクルの演習カリキュラムの各段階で、教育成果の的確なモニタリングと評価を 保証することで、本学部の人材養成目標である「プラクティカル・エコノミス ト」(以下「PE」と略記)の着実な育成をめざすものである。PEとは、社会 が直面する課題を的確に捉え、それを経済学の素養を生かして分析し、解決の方 途を他者との協働により複眼的な構想力をもって立案しうる人材を指す。その育 成の到達点は、PEが習得すべき6つのスキルと1つのアビリティ(6S+ 1A)によって測られる。
 本学部のカリキュラム・ポリシーは、単位習得のキャップ制とGPAを導入 し、基礎から応用まで段階的に経済学を学ぶ体系的カリキュラムを整備し、初年 次から4年次まで少人数の双方向型演習による4年間一貫した論文指導を実施し てPEを育成することにある。2008年度の入学生からは、少人数の演習型授業を 1・2年次の基礎サイクル(1年次前期の「基礎演習」、1年次後期または2年 次前期の「イノベーティブ・ワークショップ」、2年次後期の「論文演習」) と、3・4年次の応用サイクル(演習3と演習4、一橋大・神戸大との3商大ゼ ミ討論会、全南国立大学(韓国)および吉林大学(中国)との国際討論会)とに 再編成した。学生は、基礎サイクルで身につけた6Sを、応用サイクルで発展さ せ、卒業論文を通して1Aを獲得する。本取組ではアンケート調査もふまえ、学 生と学生、学生と実社会等の多方向・多チャンネル型で幅広いコミュニケーショ ンと学びの回路(副専攻の演習3、経済学部OBの社会人が講師を務めるキャリ ア形成ゼミ、異なる演習間の交流合宿であるインター・ゼミ)を2010年度から新 設することで、PEが備えるべき課題探求能力と複眼的な構想力の水準を引き上 げる。
 本取組ではまた、各年次の演習型授業で課される論文と卒業論文を教員が公正 に評価するための論文採点基準表を2010年度から導入する。これは論文執筆の目 標と指針として広く学生にも公開する。さらに、この取組による人材養成(6S +1A)の各年度の到達点を測るためにPE指標を導入する。これは各年度の初め と卒業時に各学生に対して提示される。かくして本学部のディプロマ・ポリシー は、PE指標と成績の4年間一貫したモニタリング、ならびに厳格な卒業論文審 査を通じて、卒業生の学士(経済学)としての質の保証をめざす。中でも卒業論 文は、6つのスキル(6S)の習得の上に開花する、問題解決の方途を複眼的に 構想するアビリティ(1A)が要求される課題であり、PEとしての最良の資格 証明書となる。本学部は伝統的に卒業論文を重視しており、6名の匿名の教員か らなる卒業論文審査委員会が全論文のピア・レビューと「優秀卒業論文」の認定 を行ってきた。本取組では2010年度から公開の卒業論文発表会を実施すること で、より厳格な指導体制を整える。  本取組では、6名の専任教員と2名の特任教員からなる取組推進委員会による モニタリングを中心とするPDCAサイクルを確立する。すなわち、全教員が参 加して開かれている学部FD研修会では、2009年度から演習型授業の進め方を主 題にすえ、学生による授業評価アンケート結果、および論文採点基準表とPE指 標にもとづく採点結果を分析したうえで改善案が提示され、それが全教員に共有 される仕組みを設ける。また、教材や資料を教員が共有し日常的なFD活動をう ながすためのPE養成ウェブ・スペースを2009年度に同委員会が整備し、教員の 取組を組織的に支援する。

経済地理学会の全国大会が本学で開催されます

2009年9月26日 経済地理学会全国大会シンポジウム
地域政策の分岐点-21世紀の地域政策のあり方をめぐって-

【日 時】 2009年9月26日(土) 13:00~17:00

【会 場】 大阪市立大学 学術情報総合センター10階・大会議室
       (〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138)

【参加費等】 参加登録不要、大会参加費:1000円(学生・院生:500円)

【主催】経済地理学会(大会開催校:大阪市立大学)

【趣 旨】 
本シンポジウムの目的は、加速する国内外の社会情勢変化のなかで分岐点にある地域政策について議論を行うことにあります。 2008年、政府は国土形成計画(全国計画)の閣議決定を行いました。1990年代後半以降、これまでの伝統的地域政策は構造改革・地方分権を機軸とする市場型地域政策へ大きくシフトしましたが、同計画では「広域ブロックが独自の発展を遂げ・・・、国土の均衡ある発展にも寄与する」と再度「均衡発展論」へと回帰したかにみえます。この閣議決定とほぼ同時期に、総理府は「定住自立圏構想研究会」報告書(2008)を公表。ここでは少子高齢化・厳しい財政状況の下、「すべての市町にフルセットの生活機能を整備することは困難」として、「集約とネットワーク」の視点から地方にかかわる政策を再構成すべきと提言しています。  本シンポジウムは、政府による地域政策再編を見据えつつ、現場の地域経済が地域政策とどのように呼応し、あるいは齟齬があるのかについて、具体例を踏まえながら議論を行い、次世代の地域政策のあり方を展望しようとするものであります。

【報告者・報告テーマ】
高山正樹(大阪大学)「均衡発展政策から地域再生の地域政策への課題」
秋山道雄(滋賀県立大学)「多様化と構造転換のなかの地域政策」
山﨑 朗(中央大学)「人口減少時代の地域政策」

【全国大会全体の詳細】
経済地理学会の大会案内をご参照ください。

【お問い合わせ】
鈴木洋太郎(大阪市立大学)(〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138,大阪市立大学商学部,電話:06-6605-2223,e-mail:suzuki@bus.osaka-cu.ac.jp) または
長尾謙吉(大阪市立大学)(〒558-8585 大阪市住吉区杉本3-3-138,大阪市立大学経済学部,電話:06-6605-2287,e-mail:nagao@econ.osaka-cu.ac.jp) まで。