学部長挨拶

経済学部長・経済学研究科長 中村 健吾

 1949年の大阪市立大学発足とともに創設された経済学部は、2019年に創立70周年を迎えます。大阪商科大学の伝統を引き継ぐ当学部の卒業生は、関西を中心に日本経済を動かす心臓部において活躍されていますし、官公庁で公務員として勤務している人も数多くおられます。当学部と商学部とが協力して開講している「商経講座」という授業では、社会人となった卒業生の皆さんが講師を務め、在学生に対して企業や官公庁の現場での経験を語っていただいています。このような授業が実現可能であるのは、同窓会である経友会を中心にして当学部の卒業生が日本全国で育んできた人の絆によるところが大きいと思います。

 既成のやり方を踏襲せず、直面している新たな課題に即して解決策を考案する力が当学部の卒業生に備わっているとするなら、それは当学部における少人数教育の賜物であると言えるでしょう。少人数教育の伝統は、当学部の取り組みが2009年度に文部科学省の「大学教育推進プログラム」に採択されたことをきっかけにして体系化され、いまでは1年次から4年次までのすべての年次において演習型の少人数科目が設けられています。そればかりでなく、3年次には、日ごろの専門ゼミナールでの研究成果を他のゼミナールの学生の前で発表するインター・ゼミ、一橋大学・神戸大学の学生たちと研究発表を競う3商大ゼミ討論会のような機会も設けられていますから、学生諸君はいやがおうにも発信する力と協働する力を身につけることになります。

当学部は、「グローバル・プラクティカル・エコノミスト」を育てることを教育目標に掲げています。この教育目標における「プラクティカル」という形容詞には、「日々に直面する問題について的確な判断を下すことができる」という意味が込められています。そういう意味での「プラクティカル」な側面は、当学部の少人数教育を通じて培われていくのです。

 上記の教育目標における「グローバル」という側面を保障するべく、当学部には英語を使用言語とする演習と講義が設けられていますし、中国や韓国の大学生との英語による討論会(3大学国際シンポジウム)も毎年開催されています。そして、英語圏に限らず、大学間協定を結んでいるアジアや欧州の大学へ留学する制度も充実しています。

これからの当学部の卒業生たちはきっと、日本全国はもとよりグローバルな拡がりをもつ人の絆を紡ぎだしてくれることでしょう。

本学の大学院経済学研究科は、1959年の発足時からすでに修士課程(前期博士課程)と博士課程(後期博士課程)の両方を有する研究者養成機関でした。ですから、日本の大学には、本学の経済学研究科で研削を積んだ経済学者が数多くいます。2018年度には、本学の経済学研究科で博士号を取得した7名の元院生たちが各地の大学の専任教員として就職しました。当研究科の学生定員は多くはありませんが、それだけにかえって、各院生は指導教員からきめ細かいアドバイスを受けることができるのです。

当研究科はまた、修士号を取得したうえで民間企業に就職する、あるいは中学・高校の教員になっていく人のために、2003年度から前期博士課程に修士専修コースを設けました。このコースを修了した人たち――その多くは留学生です――はいまや、世界各地の企業等で活躍しています。

本学は大阪市立の大学ですので、当学部には、大都市が直面しているさまざまな社会・経済問題を研究課題にし、大阪市をはじめとする自治体の施策への助言やその立案に携わっている教員がかなり在籍しています。経済学理論、経済学説史、経済史を専門にしている教員であっても、現代社会の問題に敏感であることが、当研究科の特色になっています。当研究科を修了するエコノミストたちもまた、そうした社会的感受性を身につけています。

経済学部・経済学研究科は、豊かな個性と自由な精神を有し、探求心の旺盛な学生・院生を求めています。