学部長挨拶

経済学部創立70周年を迎えて

経済学部長・経済学研究科長 中嶋 哲也

70周年を迎える本経済学部の特徴として私が感じるのは、「寛容さ」と「協働する力」です。学部ホームページには、次のような説明があります。「当学部の大きな特徴は、ひとつの視点だけに固執せず、現実的かつ柔軟な姿勢で教育と研究に取り組んでいる」ことであり、そして養成するのは「グローバルな経済・社会が直面する課題を的確にとらえ、それを経済学の素養と外国語による受信・発信能力とを生かして分析し、解決の方途を他者との協働により複眼的構想力をもって立案しうる人」です。

研究でも組織運営でも、自らの考えを深化させるためには、異なった視点からの意見を聞くことが、非常に重要です。そのためには、多様な発想への寛容さがないと、有意義な議論は成り立ちません。学部上回生の演習授業では、様々なタイプの学生が混ざりますが、各自が持ち味を活かしながら、協力して一つの報告を仕上げてゆく姿を見ていると、本学部学生の「協働する」力量の高さに感心します。70年の歴史の中で築かれた、自由で他者に寛容で、かつ協働できる学風を守り発展させることに努めたいと思います。

学部組織は、これからの数年間で大きく変わる可能性があります。もちろん、さらに良い研究・教育ができる方向に変わらなければ意味がありません。何が「良い研究・教育」の方向なのかを見つけることは、簡単ではありませんが、それこそ「現実的かつ柔軟な姿勢」で、「複眼的構想力」を持ちながら、考えていかざるを得ません。基本的には、個々人がやりたいことを、元気いっぱいに、思い切りできるような、そんな環境を作ることが重要だと考えています。