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表 弘一郎

「格差社会」とシティズンシップ


March, 2008

 
     
   
     
 

Abstract

 
 
近年の日本社会においては、「格差」や「不平等」が叫ばれて久しい。とくに「格差」という言葉は、所得格差や資産格差のみならず、たとえば学力格差や健康格差といったように相当幅広く用いられている 。そのため、格差について考察するには、その経済的次元だけでなく、いわば社会的次元にも踏み込む必要があるように思われる。「格差社会」が単なる言説である以上に、何らかの社会的事実であるならば、ただ所得格差のみを問題にするのではなく、格差や不平等のもつ社会的含意そのものを検討するべきだろう。したがって、ここではまず格差「感」と不平等「感」に着目して、現代日本で言われる格差と不平等の特質を析出し(1)、次に格差感と不平等感に内包される不確実性を分析した上で(2)、それを通じて格差と社会的排除との連関を明らかにし(3)、従来の格差社会論で見落とされてきたシティズンシップとの関連へ議論を導く(4)。

 
 
 
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